2006年の日本の人口動態調査によると、浴室内の溺死または溺水による死亡
者は、一年間で3316人でした。
そのうちの9割近くが、65歳以上の方々です。
この原因として考えられているのが、「ヒートショック」です。
「ヒートショック」とは、急激な温度変化によって、血圧や脈拍が急激に変化す
る現象のことをいいます。
お年寄りでなくても、暖房で暖まった部屋から廊下に出たり、トイレに入ったり、
服を脱いで浴室に足を踏み入れたときに感じる、ゾクッ!とした感覚。^^;
これが、「ヒートショック」なのですよ。
人間の身体は、体温を調節しようとするために、血管が収縮するのですが、
寒さによって、血圧が急激に変化すると、身体には大変な負担がかかり、
時には、血圧や脈拍数の急激な変化が、人体に深刻な事態を招くこともあります。
特に高齢者でなくても、普段から血圧が高めの人は、注意が必要です。
(聞いてるか?コバヤシ君。。^^;)
一見、寒さによる血圧の上昇自体が悪いように思われがちですが・・・
「ヒートショック」が本当に怖いのは、血圧が上がれば上がるほど、下るときも
急下降し、その揺れ幅が大きくなることにあります。
例えば入浴時、寒い脱衣所から浴室に足を踏み入れ、熱めの湯にすぐ浸かると、
血圧は急速に上昇します。
そのまま湯船に浸かり続けると、血管は温められて拡張し、今度は血圧が急激な
降下を始めてしまうのです。
この、短時間で、温度差を急速に身体に感じさせることが問題なのです。
日本の家屋環境は、実は「ヒートショック」を起こしやすい環境になっています。
鴨長明の「方丈記」にも、「家の作りやうは夏をむねとすべし。冬はいかなる所
にも住まる。」と記載されていますね。
日本の家屋は、伝統的に、真夏の暑さをしのぎやすく建てることが優先されていて、
窓が多く、気密性が低いため、冬場の冷え込みには厳しい構造が多く、暖房をつ
けている所とつけていない所の温度差が、大幅に生じるのです。
さらに、日本人はどうも方角的に南を好む傾向があり、リビングや寝室などを南
側に配置し、風呂やトイレ、洗面所、台所などの水回りは北側に配置する設計が
一般的です。
北側は日当たりが悪いため、冬になると、南の部屋と北の浴室やトイレとの温度差は、
約6℃から10℃にもなってしまいます。
特にタイル貼りの浴室やトイレでは、タイルからの冷気がさらに寒さを増します。
ぜひ、冬場はマットを敷くことをお勧めします。^^v
入浴は、日本人の日課で、湯船に浸かってこそ、一日の疲れが取れるものですね。
しかし、この急速な温度差による「ヒートショック」は、浴室の環境にも問題が
あるのですよ。^^;
ヨーロッパ諸国では、浴室の暖房の設備率は約9割以上です。
お隣の韓国では、5割近くが浴室の暖房設備を設けていますが、日本では・・・
1割にも満たないのが、現状なのですぅ。^^;
脱衣室は狭いところですから、ちょっとしたストーブやヒーターでも置くことが、
身体に優しい配慮ですね。^^
入浴前に、しばらく浴槽のフタを開けておくのも効果的です。
また、入浴時にシャワーで洗い場を流すだけでも、湯気で浴室が温められますから、
急速な血圧の上昇を防ぐ効果がありますよ。^^
入浴すると、大人の場合、約500ccの汗をかくといわれています。
水分が体内から失われると、血液は粘度が増し、血流が悪くなります。
入浴の前後には、水分を摂ることが、血管障害の予防にもなります。^^
入浴後は、身体の水気をよく拭き取って、暖かい格好に着替えることが大事ですね。
半裸や薄着で動き回ると、血圧に負担がかかってしまいますからね。^^;
浴室の次に気をつけたいのは、トイレです。
いわく「トイレで卒中を起こすと、助からない」とか。。
特に普段から血圧の高い方は、起床後や入浴後、身体が温まった状態でトイレの
冷気を感じると、「ヒートショック」を起こしやすいのです。^^:
また、起床後、朝刊を取り入れに行く時も、注意が必要ですね。
一枚何かを羽織ってでも、暖かい格好で、トイレや郵便受けに出向いてください。