アラカルト

68:7日間で済んだピロリ菌退治

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まだ初夏の頃、3週間に亘って、しくしくと、時にキリキリと、上腹部の痛み。
胃潰瘍もしくは大腸癌の疑いということで、精密検査したところ、胃の中に・・・
ピロリ菌が、見つかったのです。

ひょうきんな名前のこの菌。(笑)
正式には、ヘリコバクター・ピロリという、人の胃に、持続感染する細菌ですと。

その名の通りに、らせん型(ヘリコ)の細菌(バクター)で、
胃の奥の幽門部(ピルロス)に感染する菌です。

この菌は、1982、3年にオーストラリアのB・J・マーシャルとJ・R・ワ
レンという二人の医師によって初めて発見、証明されました。

それまで、胃は、殺菌や消化のために、強い酸性の“胃酸”を分泌しているので、
胃の中に細菌はいないと、長い間、常識として考えられていました。

しかし、このピロリ菌。ウレアーゼという尿素からアンモニアを作る酵素を分泌し、
菌体の周囲の酸をを中和するので、胃の中に住み着くことができるそうです。

“胃に細菌はいない”という常識は、もはや、非常識になったのですね。

ピロリ菌は、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、果ては胃癌の原因となる細菌といわれています。

ピロリ菌に感染すると、生体反応として“炎症”が起こり、胃炎になります。

この反応によって、ピロリ菌が排菌されることもありますが、ほとんどの場合は、
慢性胃炎に移行し、胃炎が持続するそうです。

慢性胃炎は、私の場合のように、胃のもたれ、痛みなどを伴う場合もありますが、
自覚症状がない場合も多いのです。

ピロリ菌に感染していると、ストレスなどを契機に、胃潰瘍や十二指腸潰瘍になることがあり、
一度発症すると再発を繰り返すことが多いのが特徴だといいます。

ピロリ菌による潰瘍の発生は、動物実験でも証明されており、ピロリ菌感染によって、
胃を守る粘膜や粘液がダメージを受けるためと考えられています。

潰瘍の人の90%は、ピロリ菌陽性ですが、ピロリ菌に感染すると必ず潰瘍になるわけではなく、
感染者の一部に潰瘍が起こるそうですね。

だって、ピロリ菌は、世界の人口の約半数に感染していると考えられており、
衛生環境の整った先進国で30%前後、発展途上国では80~100%の感染率です。

日本は両者の中間的な感染率で、小児期に衛生環境の整っていた若い年代では先進国並みの低い感染率です
が、50代以上の年代では、80%以上の高い感染率を示しています。

ピロリ菌は、胃のポリープ(過形成性ポリープ)や胃癌・MATL(モルト)リンパ腫などの悪性疾患にも
関連があると考えられています。

感染者がこれらの病気になるのは、潰瘍よりもさらに低い頻度です。
しかし、日本は、世界でも胃癌の多い国で、年に感染者の0.3%~0.5%に胃癌が起こると言われており、
この数値は、決して低い頻度ではありません。

ただ、胃癌はピロリ菌だけが原因ではなく、食塩の摂取とピロリ菌の感染によって、
胃癌の発生率が高くなることもわかってきました。

ピロリ菌に感染しているすべての人が胃癌になるのではありませんが、
ピロリ菌に感染していない人には胃癌は起こらないことから、
ピロリ菌による慢性胃炎は、胃癌が起こるための必須要因と考えられます。

これだけ多くの人が感染しているというピロリ菌ですが、感染経路はまだ十分に証明されていません。
しかし、口から入って感染することは間違いないといわれています。

多くの場合は、子供の頃に感染し、ごく稀に自然に排菌されるのを除いては、
胃の中に一生住み続けると考えられています。

大人になってから感染することは少ないと考えられており、成人では菌が体内に入っても、
自然に排菌されることが多いそうです。

ポリープや悪性リンパ腫(MALTリンパ腫)の一部、慢性胃炎については、
ピロリ菌の除菌療法で治癒することが世界的に認知されてきました。

ただ、除菌による胃癌の予防効果については、十分に証明されてないようですね。

その他、ピロリ菌感染との関連が言われている病気としては、慢性蕁麻疹、偏頭痛、自家中毒、
鉄欠乏性貧血、特発性血小板減少症などがあります。

これらの病気とピロリ菌との因果関係は、まだ十分に証明されていませんが、
除菌によって一部が改善、治癒することは、既に知られています。

そう捉えれば、該当する症状があれば病院で検査してもらう方がいいですね。

陽性ならば、1日2度の投薬で、7日で退治できるとのこと。

1年経って、もし万が一再発があっても、再度、退治してやるもんね。^^v