アラカルト

26:秋から冬にかけての乾燥対策

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秋は空気が乾燥しやすく、燥邪の季節で、呼吸器を傷めやすいです。

初秋は、温燥(おんそう)の邪、晩秋は、凉燥(りょうそう)の邪が、口や鼻や皮膚から進入して、
体液成分や潤いを消耗しやすく、粘膜や呼吸器・大腸などを襲うのです。

燥邪に侵されると、次のような症状が現れます。

1.髪のパサつき、抜け毛、切れ毛
2.皮膚の乾燥やカサつく痒み
3.鼻やのどなど呼吸器の乾燥感、イガイガ感、のど痛み
4.空咳、咳、痰、喘息、胸痛
5.口やのどが渇くが、それほど水分が欲しくない
6.尿の回数や量の減少
7.大便が固くなり便秘や痔疾患
8.イライラ感、悲しみやすい

以上の症状の兆候ある人や、もとから乾燥肌、アトピー、喘息の症状ある方は、
この季節の上手な過ごし方が、きわめて大切です。

秋から冬にかけての乾燥の季節には、体液(津液)を増やし、身体を潤してくれるものを食べましょう。

代表的なものは「梨」で、「梨皮」という漢方薬の材料にもなっていて、
のどや肺を潤す咳止めとしても使われています。

その他にも、百合根(漢方では百合・ビャクゴウ)・白キクラゲ・里芋や長芋などのイモ類・
レンコン・黒豆・豚肉・イカ・はちみつなどが効果的です。

肌の乾燥・肌荒れ・血・冷え症などの症状がある方は、
鶏肉や牛肉・レバーなどの肉類、ひじきやアサリ・牡蠣(カキ)などの貝類・海草類やニラ・枸杞子・
大棗(ナツメ)など、血液を補うものを毎日のお食事に摂ることです。

鼻やのどなどが弱い人は、粘膜を丈夫にするカロチンやビタミンAを豊富に含む、
カボチャや人参などの緑黄野菜をたっぷり食べて下さい。

動物は、しっかり食べて冬に備えます。
食欲の秋は、そういう観点に立っても、言えることですね。

さて、「肌が乾燥する」ということを中医学的に観た場合、
比較的多くの人に当てはまるのが、津液と血液の不足なのです。

「津液」とは血液以外の体に必要な水分のことをいい、身体を潤す役目を持っています。

ですから、津液が不足すると口渇やノドの乾きが現れ、
さらに進むと唇のひび割れや、皮膚の乾燥が出てくるのです。

次に「血液の不足」(血虚と云います)ですが、これは単に鉄分の少なくなった貧血というわけではなく、
血液のもつ働きが弱くなったことも含んでいます。

血液の働きとは、栄養物や水分を身体の隅々まで運ぶことですが、
皮膚は最も体の端に位置しますので、栄養物が届きにくいのです。

また、皮膚の細胞は日々新しく生まれ変わっているので、
細胞の材料となる栄養物の運搬が滞ると、出来上がる細胞も力不足のものになってしまいます。

また、水分の運搬がうまくいかなければ、ゆくゆくは津液の不足も招いてしまいます。

血液不足が進行し、津液不足を引き起こした状態を「陰虚」といい、
ここまでくると顔や手足のほてりなどが出てきて、症状はさらに進み、
別の疾患も生じてしまいます。

ともあれ、乾燥肌を改善するということに焦点を当てると、ポイントは、

1.働きの良い血液をつくる
2.血液をサラサラにする
3.潤いを補う

という3点となります。

1.補血作用のある食材には、黒豆、ぶどう類、黒きくらげ、牡蠣などが挙げられます。

2.血液の質を良くする食材には、イワシ、サンマ、ほうれん草、ニラなどが挙げられます。

3.滋陰作用のある食材には、キクラゲ、ギンナン、クルミ、ぶどう、豆乳などが挙げられます。

これらを踏まえて、みなさんも効果的な家庭薬膳を工夫してみて下さい。

例えば、柿のクルミ和えは如何でしょうか?

シメジとほうれん草をサッと茹で、いちょう切りにした柿(干し柿でも良い)と、
粗みじんに刻んですり鉢でよくすりつぶしたクルミを和えて、
仕上げに、砂糖、酒、しょうゆで味を調えます。

分量の目安は、柿1個・ほうれん草半束・シメジ1パック・むきクルミ半カップに対して、
砂糖小匙1・酒大匙1・しょうゆ少々程度です。

柿は、ビタミンCが豊富で、しかも火照りを鎮めてくれるので、
粘膜の炎症があるときには特に効果的です。
(二日酔いのときにも効くのですよ。^^v)

ほうれん草やしめじにもビタミン類が豊富にあり、
きのこ類は免疫力も高めてくれる効果がありますので、
シメジの他にも、ブナタケ、ナラタケ、マイタケなど、
山の精の色々なバリエーションと味・香りをお楽しみ下さい。

クルミは、中医学でいう肺と腎を補い、粘膜の抵抗力を高めてくれる効果もあります。

また、これから寒くなってくると、牡蠣が旬になってきます。

牡蠣は「海のミルク」と云われ、現代人に不足しがちな、
鉄分、亜鉛(男性諸氏は己が腰間の日本刀のためには不足はならぬ。^^;)、
タウリン、ビタミンB1・B2・B12、ナイアシンなどを、
他の魚介類と比較しても、圧倒的に大量に含んでいます。

肝臓の解毒作用の強化、コレステロール・血糖値・血圧の降下、
血液循環の活性化(肩こり、腰痛、頭痛、冷え性などに効果あり)、
疲労回復、強壮作用に優れた効果を発揮してくれる食材です。

お手軽に作れる、牡蠣の中華風炒めは如何でしょう?

フライパンにサラダ油をひき、豆板醤を炒めます。
そこにネギやニラのみじん切り、薄くスライスしたニンジン、
切ったキクラゲ、洗って水気を拭いた牡蠣を入れ、手早く強火で炒めます。
醤油で味を調え、水溶き片栗を加え、とろみをつけ、
仕上げにごま油を少し、鍋肌から回し入れれば、完成です。

豆板醤がなければ、赤味噌・一味唐辛子でも、
省いても、牡蠣から旨味成分が出て、後で醤油の量を味見しながら調えればいいだけで、
オイスター・ソイ・ソース味になるのです。

これは、効きますよ。うふふ。(なんにだ?爆!)

あ、お肌のことを考えてて(妄想ちゃうぞ。^^;)思い出したが、
乾燥肌やアトピーがあるのに、お風呂で体を洗う時、
石鹸でゴシゴシ洗っている人はいませんか?

石鹸でゴシゴシこすると、
皮膚の表面を覆う皮脂の膜を必要以上に落としてしまいます。

皮脂は水分の蒸発を防ぐ役割がありますから、
皮脂を落としすぎるのも、肌を乾燥させる立派な原因の一つなのですよ。

石鹸(ましてや石油精製物質ナドを含む合成石鹸なんか!)で皮膚を損ねてから、
保湿剤やオイルを塗るのは、本末転倒です。^^;

肌がカサつくような乾燥肌の傾向がある方は、
これからが、保湿オイルなどでお肌のケヤーをすることが大切な時期です。

沙棘(サージ)オイルなんかは、特に良いものですね。

沙棘とは、主に中国の華北や四川省などに分布するグミ科の植物で、
貧弱な土壌や厳しい環境の中でも生育できることから「生命の実」の別名があり、
その果実から抽出されたオイルは、
漢方だけなく、チベット医学でも古くから珍重されてきたものです。

その驚異的に働きから、日本ではゴールデンベリーとも呼ばれています。

私が何度か講演したことのある日本中医薬研究会を主催する、
「イスクラ産業株式会社」では、サージオイルは塗るだけでなく、飲み薬としても扱っているものです。

毎日飲んで、乾燥肌をケヤーしていくなら、
ぶどう類やブルーベリー、りんごなどをジューサーにかけ、豆乳と合わせて豆乳ジュースにすることも、
薬膳的に効果的な方法です。

何はともあれ、石鹸の選択と付けすぎには注意しましょうね。^^;

京都のT病院は、漢方治療やアトピー治療、超節食療法などで有名ですが、
永年お付き合いしてる院長などは、風呂で石鹸を全く使わないのですよ。(笑)

ずっと以前になりますが、夏、海に一緒に行った時、

「日焼けには、サンオイルなんかより、これが効くんじゃけんね。」

と、私にもゴマ油を塗りたくられましたが、^^;・・・

あの時も彼は、風呂で石鹸、使ってないっ。(爆)