コンセプト

02:風水とは

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風水学の原典は、秦朝(紀元前221~206)末期の青烏子の「青烏経」、 あるいはほぼ同時代の前漢初頭の秦の隠君子(黄石公とされる)の「青嚢経」に訪ねることができます。
形・勢・気というコンセプトを根拠にした地理哲学の先駆けです。

同じ頃の文献では、漢留候、張良による「赤廷経」があり、晋朝になって、長沙公、陶侃(とうかん)の「捉脈賦」も名高い名著です。
同じ晋朝の尚書、郭璞(かくはく)の著した「葬書」(錦嚢経)の一説に有名な言葉があり、この一節が人口に膾炙し、これ以降、「風水」と呼ばれるようになりました。

「気は風に乗ずれば散じ、水に界(くぎ)られれば即ち止まる。
古人はこれを聚めて散ぜしめず、これを行いて止めるあり。
ゆえに、これを風水という。」

この「葬書」は羅盤が発明される前の風水の根本教典ですが、いろいろエピソードがあり、現在でも郭璞が著者がどうか諸説あるところです。
また郭璞自体も伝説的な逸話が数多くあります。

いずれにしてもこの「葬書」の一説が風水の語源であり、この一説こそが風水の原理であり真理です。

大地の生気は風によって散り、水によって集められる。
よって風を嫌い、水を喜ぶ「蔵風聚水」(風をおさめて水を集める)を示した一説です。

風に吹きさらされる場所は人間や植物にとって良くありません。
風を制するには背後に山があればいいわけです。
そして横殴りの風を防ぐためには左右に小高い丘があればいいわけです。
さらに前面に水があれば人を含めた動植物にとって格好の土地となります。

背後の山から湧き出た水は動植物に恵みを与え、また物を運ぶための通路になり前方に流れていきます。
前面からの風は背後の山のお陰で緩やかになり心地よい風を与えてくれます。
風は上昇気流になり雲となって、 やがて雨に変わりまた地へと戻ってきます。水のない場所に人は住めません。

これが風水の龍穴砂水の条件を満たす「四神相応」の理想パターンになります。
つまり生活や流通に不可欠な「水」と風をさえぎる「山」が風水では重要なのです。

「一命、二運、三風水、四積陰徳、五唸書。」

中国の格言のなかには、上記の言葉があります。
風水の位置付けというか役割が表現されています。
人生を豊かにするための条件ともいえるでしょうね。
第一に天命によって左右され、第二に、めぐってくる運を掴むことが出来るか、第三によい風水の場所に住み、第四に陰徳を積み、第五に勉強をする。という風に読み取れます。

人体に例えると命、運、が自律神経系にあたり、積陰徳、唸書が筋肉系の随意機能に相当します。

風水は呼吸機能に相当します。
普段は無意識に機能していますが意識的に呼吸をコントロールすれば身体機能を自由にし健康になれます。
風水を上手に用いれば命運に対し大きな影響を与えることが出来るわけです。

私たちは親を選んで生まれてくることは出来ませんが、努力を積み、自分の生活環境を変えることはできます。
自然の力を借り、自分にとっての最適な環境を探し構築する。

これが風水の目的であり意義です。
言い換えるなら人間生活と自然との「折り合い」をつけるための中国的環境術が風水であるといえます。

風水師は大地の鍼灸師であり、生気の結集する穴(ツボ)を探し、人間が大地からいい気を分けてもらえるように建物や墓を調整します。

陰陽五行の定理によって、方位・色彩・置物調度などを活用し、生活環境を整え、調和することが風水なのです。

日本の家相学と違って、吉凶だけで判断するのではなく、手立てを執って凶を転じ、吉を増すことができることが、風水の強みです。