
日本では夏の暑さが一段落着いた時候を『残暑』と呼んでいますが、中医学では『長夏(ちょうか)』と呼んでいます。
この『 長夏』と呼ばれる時候は、『脾・胃』を傷めやすい季節とされます。
脾と胃は、現在でいう胃腸とその機能にあたります。
脾と胃は、冷たい飲食物を取りすぎると、傷んで調子を崩してしまいます。
また、脾は湿気が嫌いな臓器なので、湿気の多い梅雨から夏にかけては、調子を崩しやすいのです。
それが秋になると、夏の暑さや湿気で傷んだ胃腸には、寒暖の差が激しいことが大変な負担となります。
この時期は、まず、夏に乱れた食生活を直して、胃腸に良い環境を整えることが大切です。
刺激物や冷たい飲食物、脂分の多い食事を控えるのはもちろんですが、刺激物イコール辛味ではありません。
「痔になったら刺激物を控えなさい。」という言葉を聞いたことのある人は多いと思います。
もちろん、出血している時に辛いものを摂ったら、これは良くないに決まってます。
しかし、「痔」の原因である「鬱血」をしないようにするためには、血行を良くする香辛料は大切なのです。
事実お隣の国「韓国」ではキムチをたくさん食べますが、「痔」の疾患は日本よりずっと少ないのですよ。
薬膳の国、中国で、辛い中華料理といえば四川料理です。
麻婆(マーボー)豆腐、坦坦(タンタン)麺、エビのチリソース炒めなどが有名ですね。
中国の中央部、長江の上流の四川省は盆地で、厳しい自然環境のために寒暖の差が激しいからこそ、
唐辛子、にんにく、ショウガ、ネギ、山椒などの香辛料をたっぷり使った辛い味付けが特徴なのです。
辛い味は、漢方では気剤(気のめぐりをよくする)であり、金気に属し、臓腑・器官では肺・大腸・鼻・皮毛に関係します。
辛味は、身体全身の新陳代謝を良くするためには、なくてはならない重要なものです。
唐辛子などの辛味は、胃腸の働きを高め、便秘・下痢が治り、
発汗して喉痛・咳・痰を解消する、肺と大腸の為の食べる薬と言えるのです。
唐辛子を入れて漬けた白菜に、七味を振りかけて食べ、タクアンをお菜としたかつての日本人は、
便秘や下痢の苦労はしなかったといわれています。
現在の日本では、若い娘さんから老人にいたるまで、生野菜・果物の繊維質が良いと洗脳されて、
却って便秘で苦しんでいるようです。^^;
寒性の生野菜・果物の多食は、立派に、便秘の原因に一つになっているのですよ。
香辛料不足では、大腸は動きません。
辛味好きは快便であると、統計にも裏付けられています。
ま、薬と思って、わずかでも、この季節は辛味を補って下さい。^^v
簡単にできる、四川風マーボー豆腐をご紹介しておきます。
材料:(4人分)
豆腐 …… 1丁
ミンチ肉…… 200g(合挽きでも、鶏肉でもいいけど、肺・大腸系の気を補うなら鶏がええのよ。)
A | にんにく(みじん切り) …… 4片 |
生姜(みじん切り) …… 4片 | |
白ネギ(みじん切り) ……12~15cm | |
トウバンジャン(なければ赤味噌と一味を混ぜて) …… 大さじ1 |
B | 一味唐辛子 …… 大さじ2 |
山椒 …… 大さじ2 | |
鶏がら(または中華)スープの素を混ぜた水…… 4カップ (800cc) | |
ごま油(またはラー油) …… 少々 | |
水溶き片栗粉 |
作り方:
1. | Aを香りが出るまで炒める。 |
2. | ミンチ肉とBを、1に入れて炒め混ぜる。 |
3. | 2が混ざればスープとさいの目に切った豆腐を入れ、一煮たちさせ、1分ほど煮る。 |
4. | 水溶き片栗粉を入れてとろみをつけ、ごま油(またはラー油)を少々入れて混ぜれば完成。 |
ところで、「夏バテにはウナギ。」というセリフも、聞いたことがあるでしょう?
実は、秋から冬にかけてのウナギは、脂が乗ってきて、
こってりしたウナギが好きな方には、これからが、もっと美味しいシーズンなのですよ。^^
せっかく買って来たのに、
冷めた蒲焼は、電子レンジやフライパンなどを駆使しても、やっぱり硬くなる・・・・と悩んでいる方、いらっしゃいませんか?
熱したフライパンにゴマ油を敷き、蒲焼の皮側をちょっと焼いて下さい。
そこへ上から溶き玉子をまわして加え、蓋をして弱火で蒸し焼きにします。
ちょうど玉子に火が通ったかな?と思う頃に火を止め、1分ほど置きます。
ウナギが驚くほどふっくらと柔らかく、美味しくなりますよ。
さあ。山椒と唐辛子をパラリとかけて、召し上がれ。^^
旬の食べ物は、その季節の健康に大きく貢献してくれます。